「……ゃん」


「…………」


「芽依ちゃん!」


「……っ、はい?!」



悲しそうな瞳の亮太郎くんと視線がぶつかる。



「芽依ちゃんは、さ」


「ん?」


「残酷だよね」


「………っ、」


「アイツを忘れるようなことを言っといて、頭の中はアイツのことばかり。いつになったら俺を見ようとしてくれる?」


「りょ、たろうくん……」



あっちゃんのことは忘れるって


亮太郎くんのことを見ようって決めたのは自分なのに



あっちゃんの、一つ一つの言葉にいちいち惑わされる。




『芽依が好きだ』


絶対に、叶わないと思っていた私の片想い。



『弟でいるよ。……芽依が俺を好きって言うまで』


私の気持ちを期待するあっちゃんの言葉。


私を試すような、あっちゃんの視線。



すべてが私を狂わせて


禁忌を


犯したくなる………




「わかんないの。何がよくて、何が悪いのか。わかんなくて…」


「芽依ちゃんとアイツは、姉弟なんだよ?」


「………っ」


「誰にも祝福してもらえない。親を傷つける。……俺を見ようとして。幸せにするから…」



辛そうに俯く亮太郎くんの前


ただただ、胸が痛い……



*