「うえ、芽依が満点?!」


ちょっとちょっと、みなみさーん。


その反応は失礼なんじゃない?



「ふーん。平岡さんって意外と頭いいんだ?」


杉浦くんの言葉も失礼だよね?



……実は。


昨日あった数学の小テストで、満点取っちゃったのです。


ちょうどあっちゃんに教えてもらったところで。



「さすがあっちゃんっ」


小さく小さく呟いたはずだったのに、みなみにはバッチリ聞こえてたみたい……



「どうしてそこで篤志くんの名前が出てくるのかなぁ?」


「うっ……」


「『篤志』って誰?」



その名前に杉浦くんもバッチリ反応



『弟』なんだけど。


自らそう認めてしまうのが嫌で、私は黙り込んでしまった。



「平岡……、」


「好きな人」


「「へっ?!」」


みなみの言葉に、私と杉浦くんの声がかぶった。



『好きな人』って、そりゃそうなんだけど、


その前に『あっちゃん』は弟で……



でも、私わかったんだ。


みなみは私があっちゃんを『弟』と言いたくないことを知ってて


そう言ってくれたこと。



「うんっ。好きな人だよっ」


幸せだった。


『好きな人』と言えることが。



*