パッと、視線を元に戻すと芽依はもうそこにいなかった。
キョロキョロとあたりを見回しても、芽依の姿はない。
もう、芽依の瞳に映ることはできないと思っていたから
少しの間だけでも幸せだったのに……
「篤志くん?」
下から見上げる彼女に目を向けると、少し意地悪な瞳が光っていた。
「わざと、なんですね?」
俺をわざわざここで待たせて芽依に二人の姿を見せた。
「さぁ?何のことかしら?」
そう言って岡田さんは笑った。
ほんと、女って怖ぇなぁ……
俺たちは、学校からしばらく歩いた場所にあるカフェに入った。
もちろんデートなんかではない。
「何を、したんですか?芽依に」
俺が言うと、岡田さんはニッコリ笑った。
*