「ねね、七ちゃん」




「え??」




それは私を含めて四人のお泊り会の日だった。




このグループといつも一緒に行動している。




「正直言ってさ、登端君と、どこまで進んだの??」




そう言ってきたのは麗ちゃんだった。




「えー??どこまでって」




「いいじゃん、教えてよ。ねぇ愛実ちゃ
ん」




愛実ちゃんは私を見て




「どうせ私達はくりぼっちですもの」




と嫌味のように私に言う。




「ははっ、そうなんですよぉ」




と麗ちゃんは言った。




「明日奈??」




明日奈は窓の外ずっと見ていた。




「あっ、…どうしたの??」



「ううん、さっきからずっと窓の外見てたから」




「ごめんね」




「ううん、全然」




明日奈は私の唯一の理解者であるし、私の大切な友達。




明日奈はとっても可愛いんだ。




て言うか、綺麗。




「明日奈はさー??」




麗ちゃんが話に入ってくる。




「ぅん??」




「クリスマス、勿論あの人と過ごすんでしょ」




「えーまだ分かんないよ」




明日奈には彼氏がいる。




とってもカッコよくて明日奈のことを一番に考えていて、心の暖かい人。




私は一度だけ、彼と対面したことがある。




明日奈が会わせてくれたんだ。




お互いとっても仲が良くて彼氏がいる私でも、正直羨ましかったよ。




お似合いのカップルだったな。




だけど学校は違うんだ。




隣の学校。




そして彼は二つ下。




つまりまだ、中学二年生。




「あっ、もうジュース切れちゃったねー」




「ほんとだ。買ってこようか」




麗ちゃんと愛実ちゃんは言う。




「あ、じゃあ私も…」




って明日奈が立ち上がろうとした時




「いえいえ、ここは私達二人が」




と、愛実ちゃんは言う。




「え、でも…」




明日奈は申し訳なさそうに言った。




「リア充はおるすばーん。非リア充は買い出しいってきまぁーす」




と、麗ちゃんはそう言って




二人は家を出て行った。




明日奈と二人になる。




「…残っちゃったね」




最初に話したのは明日奈だった。




「そうだね」




「七、なんか可愛くなったね」




「え??」




い、いきなりなにを。




「恋をして、可愛くなった」




「そうかな、自分では全く分かんないよ」




「でしょうね。クリスマスは登端君と??」



「うん、多分ね。明日奈は分かんないんでしょ??」




「うーん、まず会えるかも分かんないや」




「そっか。でも、会うなら今がいいよ。
来年受験だしさ」




「うん、それも思ったの。私から…誘ってみようかな」




明日奈はそう言った。




「そうしなよっ、私応援するよっ」




「うん、ありがとう」




「ははっ、こんなの普通だしね」




「七はいいね。会いたい時なんかいつでも会えるもん」





「…そうだね」



「いいなぁー」




「そうかな。私、あまり登端に気に入ってもらえてない気がするんだよね」




「え??」




「なんて言うか、好きか分かんない。逆に私は明日奈が羨ましいよ」




「そっか。確かに登端君は普段静かだし何も言わないかもだけど、気持ちはあるでしょ??」




「どうだろう。好きなんて告白されたっきりだよ」




「そうなんだ。じゃあ七聞いてみなよ」




「えっ!!」




「じゃないと不安なままだよ??」




「それは…そうだけどさ…」




「私だって七を応援してるよ??」




「明日奈…ありがとう」




「ううん、気が向いたら、言ってみてね」




それが明日奈からのアドバイスだった。




そうだよね。




私、言わなきゃダメだよね。




確かに登端は何を思ってるのか分かんない。




けどそれを、私が理解してあげるんだ。




毎日会えることがどれだけ幸せなことか。




同じ学校で



同じクラスで。




私達は恵まれている。




だから頑張らなきゃ。




好きって気持ち、私も伝えなきゃ。