春。

『帰るか登端』
『お』

侑月とは中学の頃から知り合いだった。

『…登端??』
『あ、わり。俺さ、』
『ん??』
『今日呼ばれてたの忘れてたわ』
『また女子かよ』
『無視する訳にはいかねーよ』
『だなー、ならいってらっしゃーい』

そう言って侑月は教室を出て行った。

確か呼び出されたのは、

なんとか麗ってやつ。

よく知らねーや、興味ないし。

今回も断ってやるか。

俺は図書室の裏のベンチへと向かった。

『あっ、生田君っ』
『…なんすか』
『あの、私…』
『…』

早くしてほしい。

帰りたいんだけど。

『好きです、生田君のことが…』

あそ。

同じクラスなのかこいつ。

いたっけな。

まあまだ入学して早々だもんな。

てかなんで相手は俺を知ってるんだよ。

話したことだってねーよ、

『悪いけど、俺君とは付き合えない』

言うことはそれだけ。

『そう…ですよね…ごめんなさい』
『いや』
『…』

振られたらそんなに悲しいのか??

『じゃあ俺行くから』
『…あのっ、』
『はい??』
『来てくれて、ありがとう』

そいつは俺に笑って言った。

それも泣きながら。

なんかそれ見て、可哀想だって思ってしまった。

『…気をつけて帰れよ』

俺はそう言ってその場を去った。