とかなんとか考えながら歩いていて、あたしはふと気がついた。





「………ちょっと、南くん!」




「はい?」




「肩びしょぬれじゃん!」



 

あたしと反対側にある南くんの肩は、花柄の傘からはみ出して、じわじわと強まってきた雨の直撃を受けていた。




あたしは生来の世話焼き機能を発動させて、かばんからタオルを取り出し、南くんの肩をごしごしと拭く。




そうしながら、気づいてしまった。



あたしは、これっぽっちも濡れていない。




南くんは、傘をあたしのほうに傾けてくれていたのだ。



自分が濡れるのもかまわずに。





―――なによ、それ。



ちょっと、むちゃくちゃ嬉しくなっちゃうじゃん。