「あ、雨ふってる。

南くん、傘もってきた?」





研究棟を出ると小雨がぱらついていたので、あたしは首根っこをつかんだまま南くんに声をかけた。



大人しくされるがままになっている南くんが、





「持ってます」





と答えて、中学校の補助バッグの中から折りたたみ傘を………





「………なにその傘!」




「え?」






驚きの声をあげたあたしを、南くんが怪訝そうな顔で見つめ返す。




その傘は、ドぎつい真っピンクに、ド派手な花柄が豪勢にあしらわれた、信じられないくらい毒々しく華やかなものだった。