『一番いい役が一番悪いんだよ』


意味不明な手紙を受け取ってから二日後


私は最大のミスをおかした


この時になって私はあの手紙の意味をいたいほどわかったのだ












二泊三日の行事の二日目・キャンプファイア


大木を糧に燃える炎は生徒達の心を熱く高鳴らせている


私はそこで一人沈んでいた


クスクスと微かに聞こえる笑い声


その声の主は三人の女の子


私は前からあの子達に嫌がらせを受けてきた


理由もなく突然にだ


恐らく手紙の犯人もあの子達なんだろう


問い詰めても上手く避けられるだけだ


あの子達のせいで私は全生徒の前で恥をかいた


キャンプファイアが始まるまで恥ずかしい思いをさせられた


まさかそこまでされるなんて……


私は悔しくて泣きそうになっていた


そんな時、誰かが後ろから私の肩を叩いた


友達の女の子が笑っていた


「大丈夫! キャンプファイアで皆さっきの事は忘れてるよ。 だからさ、思い出には楽しい事だけを残そう」


確かに、私はキャンプファイアを一番楽しみにしていたんだ


「おい、いつまで浮かない顔してんだよ」


そう言いながら歩いて来たのは腐れ縁の男の子


「お前の持ち前の明るさはどこに行ったんだよ。 たかが、ミスしただけで一気に落ち込むとか。 繊細だなー」


その言われように男の子の顎にグーパンチをお見舞いした


「いってぇ! やっぱ、お前は馬鹿力だな! 繊細なんて絶対似合わねぇ!」


顎を押さえて大袈裟に騒ぐ男の子に思わず笑ってしまう


「繊細は似合わねぇけど、笑顔は似合ってんだから嫌な事も笑っとけ」


男の子はそう言って優しく微笑んだ











友達と腐れ縁がいるおかげで私は毎日を過ごせていたんだ


二人の存在に私は感謝している







【完】