スーパーを出る。
彼女の後ろ姿を見る。
足が、ついていく。
まずい、彼女に引き寄せられる。このまま家を特定したい。外から眺めて、何色のカーテンなのかだけでも確認したい。犯罪にならない程度で、彼女とお近づきになりたいのだが。
いや、後をつけるだけでも犯罪か。
通報される前に帰ろうとした矢先、ニャアニャアという鳴き声。
「ああ、あのっ、さ、刺身はダメです。ち、チクワなら」
猫軍勢に囲まれていた彼女だった。
チクワを投げているようだが、猫たちは見向きもしない。爪を立てて、今にも彼女に飛びかかりそうだった。
爪を立てた猫。飛びかかる。
破ける彼女の服。見えるか見えないかまでーーと、想像したところで、あの肌に傷つけちゃならんだろうと、袋の刺身を投げる。
猫の殺気が彼女から同胞に向けられる。
これは俺のにゃー!と言わんばかりの刺身の取り合い。その争乱に乗じて、彼女を助け出した。


