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車内で震えていた。
エンジンをかけっぱなしにしてくれたから、暖房ついているのに。暖かくとも、人は震えることが出来る。
倉石さんに連絡しようとしたけど、電源を入れた瞬間、上田くんーーいや、みんなからかかってくる気がして入れることが出来なかった。
友人だと思っていたのに、とは言わない。
上田くん含めて、仲のいい友達には違いなかったんだ。
今までの思い出が語る。紛れもない友達関係だったのに。
「私の、せいで……」
その関係を裂いたのは、私だった。
私自らが、友達の関係(輪)にハサミを添えたようなものだ。
悪気はなかった。でも、添えられたハサミは、ちょきんと音を立てる。
修復出来ればいいのに、私には直す術がないんだ。
馬鹿なことをした、馬鹿だから。
救いようがない馬鹿に相応しい末路がこれなんだと、車内で縮こまっていた。
自業自得なんだ。なのに、口からは倉石さんの名前が紡がれる。
救わなくてもいいから、せめてそばにいてほしい。
早く来ないかなと、車内から外を見回した。


