多重人格者【完結】

“誰…?”

≪草野のところへ、行くな≫

“何で!?貴方誰!?”

≪行ったら後悔する≫

“折角の、チャンスなの!”

≪裏切られる≫

“草野君はそんな人じゃない!やめて!!”

≪あ!あやめ、あや…≫



その声を断ち切るように、私はがばっと飛び起きた。
それが予想外にでかい音を立てたものだから、先生は面食らった顔をしている。


「…お、おはようございます」


何か、言わないとと寝ぼける頭で咄嗟に出た言葉が…これ。

教室中から、どっと笑いが溢れる。
葉月も笑いを堪えながら私を見つめている。


…まじ一生の恥だ。

一しきり笑われた後、先生の一言で授業が再開された。

静寂を取り戻した教室。
ぼーっとすっきりしない頭で、私は夢で聞いたあの声のことを考えていた。

てか、夢だったのだろうか。
なんだったんだろう。
あんな声、聞いたの初めてだ。


だけど。