(あやめが小学校に入学する時には、既にアタシはいた。
気付けば…周りに昴や、ユウナやアンがいた)


≪な。はっきりと覚えてなんかいないんだよ。
俺達はどうせ、創りモノなんだから≫

≪……≫

≪あやめは誕生日があって、望まれて生まれて来た。
俺達って…何の為にいるんだろう、な?≫

≪……お前≫


カンナはそこで言葉を飲み込んだ。
殺樹の目が、何も見てなかったからだ。

カンナは自分の出生の理由が、ただあやめの心を守る為だけ。
それに対した疑問を持った事はなかった。


“普通”にそれを“自然な事として”受け入れていたのだ。
あやめに対して、憎いと言う感情を持っていたといえど。


それを疑問視している殺樹に、正直言えば動揺を隠せなかった。
そして、そんな事をどうしたら思うのかと。


殺樹の、無機質で光のない瞳が今まで見て来たヴィジョンとはなんだったのだろうか。


それは殺樹にしかわからない。
カンナには知る術もなかった。