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ガチャっと言う扉の開く音にギクリとする。

帰って来た。



「ただいまー」

「あ、あなた、お帰りなさい」


お義父さんと、お母さんの声。

帰って来なければいいのに。
そう、思った。

だけど、お義父さんはきちんと帰宅して来る。


「あやめー、行くわよー」


考えていても仕方がない。
私はお義父さんに笑顔を向けなければいけない。


普通に。
お母さんにバレない様に、普通に。自然に。


「はーいっ」


なるべく明るく返事をすると、私は階段を駆け降りる。
リビングにはスーツ姿のお義父さん。
そのお義父さんに笑いかけてるお母さん。


「あやめ、ただいま」

「……」

おかえりなさい。
そう、言おうと思うのに声が出ない。