多重人格者【完結】


≪あやめ、そうだ≫

「………」

≪どうした?俺がいれば自由だ≫


殺樹は窺うように、だけども威圧的にそう発する。
私の頭の中に響く声。


「お願い、私の大事な人誰にも危害を加えないで」

≪……ああ、いいよ≫


このまま、カンナを野放しにしてたらきっと、何もかもをぐちゃぐちゃにされる。
その為なら、殺樹と協力する事だって構わない。


「約束、よ」

≪…クク、ああ≫


殺樹が何を考えてるのかなんてわからない。
でも、これしか私には方法がないのだから。


大好きな心君を守る為には。