「あやめ…、ごめん」
今更、謝罪なんて。
心君達のした行為は最低な事で、女の敵なわけであって。
ぐっと拳を作る。
だけど。
その拳はすぐに緩められた。
「……し、ん君」
だって、どうしようもなく私は貴方が好きなんだ。
酷い事をされたのに。
どうしたって許せる行為なんかじゃなかったのに。
なのに、泣きそうになりながら私に謝る心君を見て…いっかって思えてしまって。
そんな自分が許せない気持ちと、全てを許してしまいたい自分と。
これは、その行為をされていないから思えるのかな。
未遂だったからこそ、今こう思えるのかもしれない。
私を強く抱き締める心君の背中へと手を伸ばす。



