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アタシは少し希望を持った草野の顔を見て、ククっと笑う。


「聞いてやるから待ってろ」

「あやめを出す事は出来ないのか」

「…無理だね」

「どうして!?」

「籠ったのは誰の所為だ!?」

「!!!!」


アタシの叫びに草野はハッとして、言葉を詰まらせた。
それを冷たく見つめる。


調子いいんだよ、草野は本当に。
あんまイラつかせないでくれ。


苛々しながらアタシはあやめにコンタクトを取ろうと、意識を集中させた。


だけど。


「うっ…」


急に頭が割れる様に痛みだす。


「うわあああああっ!!!!」

「は!?カンナ!?」

「何だ、お前は!!!!!」

「お前って、何だよ、おい!」


草野は動揺しながら、アタシに近付く。
だけど、暴れているアタシには迂闊に近寄れない。


≪……俺?≫


そうやって、静かに頭の中で響く。
こんな声。
今まで聞いた事ない。


誰だ?


≪………俺の名前は殺樹(サツキ)≫


さ、つき?

知らねえ。
誰だ。


お前は―――――――………



そこで、アタシの意識は途絶えた。