多重人格者【完結】

「あ、俺の写真」

生徒手帳を取り上げた人物は。
まさに、その写真の君。

草野君は自分の写真をまじまじと見ている。
ちょっと、困惑してる…?



「あ、あ、く、くくく草野君」

「何、君、俺のこと好きなの?」

「……………」


突然の、しかも予想外の出来事に、真っ赤になって口をパクパクさせた私。
もちろん何も言えない。

葉月もびっくりしてるみたいで、黙っていた。


「なんか、そうみたいだよ」


さらっと、順二君が私の気持ちを代弁してしまって。


「あ、そうなの?じゃあ、明日デートする?」


また、さらっと私にデートしようなんて言い出して。
トントン拍子に私と草野君がデートすることが決まってしまった。


「名前は、えー…一之瀬あやめ。
あやめちゃんね、じゃあ明日放課後迎えに行くね」

草野君は生徒手帳に記載された私の名前を読み上げると、そう宣言する。

ぽかんとその姿を見つめると、草野君は笑いながらOK?と尋ねた。