多重人格者【完結】

アタシはざわざわしている学校に入りながら、自分のクラスへと足を進める。
自分の教室まで来ると、後ろから誰かに肩を叩かれた。


「あやめっ」

振り向くと、そこにいたのは満面の笑みをした葉月だった。


「…葉月」

「終わったんだ。教室入ろうっ」


葉月はアタシの腕に自分の腕を絡ませると、葉月は教室へと足を踏み入れた。
アタシの席まで来ると、前の席に座る。

アタシは椅子に座りながらカバンから教科書や、筆箱を出すとカバンを机の横に掛ける。


目の前を向くと、凄く何かを期待をしている葉月。


「あやめ、どーなったの」

「……聞いて、葉月っ」

「何々っ」


アタシがそう言うと、葉月は興味津々に身を乗り出した。


「心君にまた遊ぼうって誘われちゃったっ」

「ええっ、本当に」


葉月は嬉しそうにアタシの事を抱き締める。
よかったねえって何度も何度も言いながら。


「いついつ」

「まだ決まってない」

「このまま付き合えるかな」

「あはは、それはないでしょ」

「そうー??」


葉月はアタシがカンナだと言う事にも気付かずに、笑顔で返す。
でも、誰もアタシがカンナだと言う事には気付かない。

気付いてるのは、草野…ただ一人。