怒鳴る彼女の奥に、すうっと人影が見える。
その彼女と同年代ぐらいだろう男の子と、小さな女の子。

その女の子と、男の子は手を繋いでいる。
何故だろう、皆生気を感じない。

生きているように思えない。
今、こうして話しているのに。


≪あんたの所為で、私等はことあるごとにあんたの義父に無理矢理されたんだ!≫


ボブの彼女の髪の毛がサラっと揺れる。
それから、彼女は後ろにいた男の子を指した。

≪昴がいつも私等の代わりに出てくれたんだ!
男に抱かれたんだよ!!≫

昴とは、彼のことだったんだ。
昴を見るが、こちらに目線を合わせようともしない。

まるで私が存在しないかの如く。


「…わ、たし…の、せ…い?」


涙をぼろぼろと流しながら、私は言葉を紡ぐ。

≪あんたの所為だ!!≫


……わ、たしの所為…。