そういえば、私はレイプされたのだろうか。
下半身に何も違和感はない。
痛むのは、押し倒された時に打ったであろう後頭部と背中。それと…拳。

ガバっと布団をはいで、私は恐る恐る下着の中を見る。
だけど、汚れている様子はない。
見た所、昨日と同じ下着だ。…何もされなかったのだろうか?


まさか。
あんなやる気満々だったじゃないか。
誰か、助けてくれた…?

そうだ。
あの時、確か声がして。
カンナって…。


≪何?≫


「え?」

急に響く声に思わず声が出た。


≪だから、カンナって呼んだじゃん≫

なおも続く、その声。
私はキョロキョロと辺りを見渡すが、自分の部屋には誰もいない。


≪はは、誰もいないよ≫

けらけらと馬鹿にするように笑いながらその声は響く。


「…どういう…」

混乱した私がそう言うと、

≪だって、あんたの中にいるんだから≫

そう、その声が響いて笑った様な気がした。