多重人格者【完結】



「もっと一緒にいたいけど、あんまいられないよな。
今日はこれぐらいにしておく。…でも」


心君は一旦、言葉を切ると顔を離してそっと額にキスをした。



「これぐらいはさせて。明日にあやめが必ずいるって保証はないし」


額を押さえて、真っ赤になる私に心君は意地悪な顔をして笑う。

確かに、明日も私がいるのかって聞かれたらわからないけど。
不安だけど、それでもこれは恥ずかしい。


「ははっ、すっげえ赤くなってる。よし、それじゃ俺は帰るよ。
何かあったらすぐに連絡して来い」



くしゃくしゃっと髪の毛をいじると、靴を持って窓から木に移る。
手を振ると、心君もニコって笑ってくれた。


いなくなるまで見送り、窓とカーテンをしめる。
今日もバレずに済んだみたいでよかった。


私はキスされた場所を触ると、嬉しくてふふって笑った。



夜になると相変わらず不安になったけど、そんな時はなるべく心君の事を思い出す。
笑った顔や、優しい声を思い出すと、安心出来た。