お母さんが作ってくれた食事には一切手をつけず、私は菓子パン等を手に持ち部屋に戻る。

これで、暫くは顔を合わせないで済む。
それはお母さんも一緒。


お風呂は夜に入れば平気。
トイレはリビングから見えない場所だし、きっと気付いても顔を合わす事はあんまないと思う。


辛いと思うけど、お母さんの怯える顔や、冷たい顔を見る方が余程辛い。


だから、これでいいんだ。


私は菓子パンの封を開けると、一口齧った。
美味しくなんてない。わかんない。


とりあえず、腹を満たす為食べてるだけ。


一つだけ食べ終えると、お茶を開けてゴクゴクと口へと流し込んだ。



携帯が震えて、確認すると心君。
どうやら、着いたようで着信だった。


「もしもし」

『着いたー』

「待ってね」


私はカーテンを開けると、キョロキョロと心君を探す。
ブロック塀の横からにょきっと顔を出して、心君は笑いながらピースサインを作った。