多重人格者【完結】


「お待たせ」


心君は窓の前まで来ると、私を見て二カッと笑った。



あんなに泣いたのに。
また、涙が溢れて来るよ。



「入っていい?」


嗚咽で声にならないから、私は無言で頷く。
心君はふふって笑うと、私の部屋へと入った。


靴はゴミ箱の上に置く。
窓をしめて、カーテンもしめると、心君はベッドに座った。


ふうっと息を吐き出すと。


「会えてよかった」


っと言って、ニッコリと微笑む。



「あやめは?会いたかった?」


コクコクと何度も何度も頷く。


「はは、そんなにか。嬉しい」


心君は私の背中に腕を回すと、優しく手でトントンとしてくれた。
泣いてる私を慰めるかの様に。



「俺は離れないから」



心君は、どうしてか、私の今一番欲しい言葉をくれる。



「あやめの中にどんな人物がいようと、あやめはあやめ。
他の人格が何をしようとも、俺だけはあやめを見てるから。
だから、俺は離れない」