多重人格者【完結】

……インターホンの音がする?



まさか、心、君?



ピンポンと何度も何度も鳴り響く。
だけど、何も反応はない。


お母さんがまだ帰宅してないから当然だ。


私は窓に立つと、外を見下ろす。
玄関の前に立っているのは、紛れもなく心君だった。



窓の鍵を開けて、


「心君っ!」


そう叫ぶ。


「え?あやめ?」


私の声がして、心君はキョロキョロと辺りを見渡した。
少し身を乗り出すと、また声を出す。


「ここ!上!」

「上?」


そう言ってから、見上げる心君と視線がかちあった。



「あやめ!」


心君は目を真ん丸に見開いている。


「今、誰もいないの」

「そうなのか?ちょっと待ってろ」


心君は窓の下まで来ると、その近くに生えてる木を見上げた。
それから、それによじ登る。

今度は私が目を見張る番だ。


「しっ、心君!?」

「大丈夫、待ってろ」


ドキドキとしながら、その様子を見守る。