多重人格者【完結】



「なかった、昨日は何も。
ただ、あやめは疲れてたのか早くに寝てしまったから、話は全く出来なかった」

「……そう」


葉月ちゃんはがくっと肩を落とすと、また涙を流していた。



……あんな事があっても。
葉月ちゃんはあやめの友達でいてくれるかな。


これも殺樹の仕組んだ罠だとしたら、どれほど残酷なんだろうか。


全てが欲しい。
とは、あやめを孤独にさせるって事なんだろうか。


だけど、俺は絶対に離れないからな。
絶対に。


葉月ちゃんも離れて、クラスからも孤立して。
そうしたら、今度こそあやめは絶望してしまうんだ。


本当にあやめが籠もってしまったら、俺になす術はない。
あやめと話す事なんて、出来ないんだ。

あの、殺樹がさせるわけない。


そうなったら、もう手づまりだ。


病院に素直に来てくれるなんて事、なさそうだしな。
逆に捕まってくれた方が、強制的に入院だからいいのだろうか。


……何を弱気になってる。俺は。


人殺しをさせない様にって考えてたのに。


ダメだ、押されてしまっている。