多重人格者【完結】



もう一度、殺樹が椅子を頭上に振り上げる。
同時に聞こえる周りの悲鳴。


「おいっ!!!」


俺は咄嗟に前へと出て、その腕を止めた。


ぴたりと腕が止まり、ゆらりと俺へと視線を送る。



「あ。草野君。どうしたの?」



殺樹は笑みを崩さずに、クスクスと笑いながらそう言った。



「……お前、まさか」

「うん、気付いた?」



殺樹は何か問題を起こして、強制で家に帰されるのを企んだんだ。
それにしたって、限度がある。
これじゃ、停学でなく、退学になるかもしれない。



「それでも、いくらなんでもこれはやり過ぎだろ」

「そう?だって、こいつらクズでしょ?」



それに息を呑む。
殺樹は俺の動きが止まった一瞬を決して見逃さない。
自由に動ける足で彼女達を蹴り上げた。