多重人格者【完結】


ギリギリと拳を握り締める。
爪が食い込む。
だけど、痛みよりも他の感情が俺を支配していた。


悔しさなのか?
憤りなのか?

これは、何なのか。



「じゃあ、案内して?草野君」

「……」



うっすらと笑みを浮かべる殺樹を睨みつけると、俺は自宅まで歩く。
誘導する俺の後ろを、殺樹は黙って付いて来る。


自宅に到着すると、家の中へと入れた。
それから、自分の部屋へと向かう。


「……ここ、俺の部屋だから使えよ」

「ふうん。いいの?俺に好きに使わせて」

「一緒に寝るわけにいかないしな」

「別に俺はいいよ?なんなら、する?」

「……ふざけんな」

「おお、怖い。くく、いい目つき」



どんなに凄んでも、睨んでも、殺樹にとってはどうでもいい事なんだ。

それがこいつに効くだなんて思ってはいない。
ただ、俺が整理出来てないだけだ。


終わる事はない。
それってどういう事なのか。


考えても、わからない。