多重人格者【完結】

いや。
憎い、そう思ってるんじゃない。


俺達が虫を殺すのと、同じ感覚だ。



目障り。邪魔だから、目の前から消えて。

きっと、そうなんだ。



「あんま深入りしない方がいいと思うよ?」

「……」

「実際、君の出来る事は限られている」

「……」

「本当にカンナを止められるとでも?」

「っ…」



殺樹はわかってる。
カンナが何をしようとしてるか。


そうした上で、全てを話している。
俺が出来る事は本当に少ない。


だけど、最後まであがいてやる。




「早く離れないと、いいように利用されるだけだよ?」

「…何でそれを俺に教える?」

「何で?どうして?理由が必要?」

「理由がなければ話さないだろ」

「ん~。そうか、理由が必要だって言うなら教えてあげるよ。
俺はただ君が憐れだと思うんだ」

「……な、んだと?」


憐れだと?


くしゃっと顔を歪める俺に、殺樹は目を細めて微笑むと続けた。