多重人格者【完結】


本当に、子供だな。
このあやめ、…いや、アンは。


食器を片付けると、俺は荷物を手にする。
それから、寝室の扉をそっと開けた。


「……行くよ」


姉ちゃんは顔を手で覆ったまま、頭だけを上下に動かした。


「料理うまかった、さんきゅ。また来るわ、今度は一人で」


動かない姉ちゃん。
俺はそっと寝室の扉を閉めると、すっかり寝てしまったアンを軽く起こして、おんぶする。


俺の背中から聞こえる寝息。


それを聞きながら、外へと出る。


外は随分と暗くなっていて、肌寒い。
アンが風邪引かないか、少しだけ心配だ。

上着着せればよかった。
ちょっと後悔しつつ、俺は自宅へと歩いて行く。




数分歩いた時、急にアンの腕が首に回って来た。


ぐっと押され、思わず息が詰まる。