「……ごめん、やっぱり私には無理だ」
まあ、当然だと思った。
話したら泊めてくれると思ってなかったし。
「……あやめちゃんの、ほら、その多重人格?とか、理解してあげたいって思うし、偏見とかじゃないんだけど…。
ちょっと、対応する自信がない」
申し訳なさそうに言う姉ちゃん。
今にも泣きそうで、それにちくりと胸が痛んだ。
「俺こそ、内緒にしててごめん。ご飯食べたら出て行く。
あ、ほら、母さんに親父は家に相変わらずいないし、平気」
「……うん」
「姉ちゃん、ごめん。あやめに優しくしてくれてありがと」
「……」
そう言うと、俺は頭を抱えてベッドに力なく座りこんだ姉ちゃんを置いてリビングに戻った。
それから、ご飯を食べ始める。
アンはキラキラしながらご飯を食べている。
お箸はどうやら難しいらしく、フォークを渡すと次々に口へと放りこんで行く。
それを見て、口角が上がった。
満腹になったらしく、アンはうとうとしながら目を擦る。



