多重人格者【完結】


俺は再度、アンの前にしゃがみ込むとなるべく優しい声色で話しかける。



「遅くなったけど、お兄ちゃんの名前は心。それで、あっちのお姉ちゃんが奈乃香。
俺のお姉ちゃん」

「……し、ん、なのか」

「そう、上手」



頭を撫でてあげると、アンは嬉しそうに微笑む。


姉ちゃんが料理を作り終えるまで、俺はアンと遊んでいた。
時折こっちを見る姉ちゃんの怯えた表情。

それを見て、ここにいる事は出来ないなと思った。



「……どうぞ」

「ほら、アン食べようか。姉ちゃん、ありがと」

「……心、ちょっと」


顔を強張らせている姉ちゃんに、俺は頷き付いて行く。
ちらっとアンを見るが、アンは料理に興味津々みたいでホッとした。


寝室に入り、扉をしめると姉ちゃんと対峙する。