最初から…彼はこれが目当てだったんだ。
私の事、どうでもよかったんだ。

彼らの、性欲処理になる相手ならば。

……………誰でも。


私の制服に誰のものかわからない手が入る。
それが気持ち悪い。
ぞわっとする肌。

涙をいくら流しても。

助けは来ない。


“やめて”


これは、私が言っているのか。
…いや、私の口は塞がれている。

そんな声出るわけない。


“やだ…、やめて”

じゃあ、この声は誰のもの…?

声からして幼い。
誰のもの…?


≪あやめ≫


急に脳内に響き渡る低い声に目を見開く。

≪助けてやる、だから、意識を手放せ≫


どういう、こと…?

≪アタシは味方だ。いいから、早くしろ!!≫


そう、言われても簡単に意識など手放せるわけがない。


≪カンナ、そう、強く感じろ!!≫

………カンナ?

それが誰でもいい。
誰かなんて今はどうだっていい。


………カンナ……、助けて!!!!


強く、念じると“あやめ”は意識を手放した。