【姉】



期待とは裏腹に。

それは、姉からの着信を知らせるモノだった。



ドクンドクンと変に心臓が鳴って行く。
まさか、殺樹が何かしたのか?


嫌な思考ばかりが頭を廻る。



震えそうになる指で、俺は通話を押した。
それから、ゆっくりと受話部分を耳に押し当てる。


「……もしもし」

「あ。心?」

「何?何かあった?」

「あのねーちょっと買って来て欲しいの忘れててさ!
ケチャップ、よろしくー」

「……はあ、わかった」

「ご飯そろそろ出来るからね」

「ん、俺ももう終わる」


通話を終えてから、俺ははあっと長い溜め息を吐いた。