多重人格者【完結】


「嫌だな。真に受けないでよ?
俺は快楽殺人者じゃないんだから」


そう言うと、またクスクスと笑う。
そっちの方がまだ“マシ”だ。

何を考えてるかわからないのは、タチが悪い。


「大丈夫。ちゃんとあやめを演じてやるから。
だから、草野君。君がボロを出さないでね?」

「……くそっ、……わかった」


何も言い返せない。
ここは従う以外ない。

悔しい、だけど、これ以外方法はない。


今、あやめがいないのだから。


家に戻すわけにもいかないし。


ひたひたと、何かが迫り来る感覚がした。
そして、そこまで誘導されている様な錯覚に陥りそうになる。


殺樹の手によって。