多重人格者【完結】

玄関前に立つと、一度ドアノブを回す。
だけど、鍵が締まっていたから、あやめはインターホンを押した。

鍵は全てカバンの中。
それはこの家にある。


あやめの持ってるのは俺のカバンだから、当たり前にその中にはない。


インターホンを押した後、すぐに出て来るのは母親だった。
それに少しだけホッとする。

父親ならどうしようかと思ってたから。



「あやめ!!連絡もなしにどうしたの!!」


いきなり聞こえる、母親の大きな声。
それも、そうか。

物陰から覗き、俺は様子を窺う。


「ごめんね、お母さん。葉月の家に泊まってたんだ」

「あ、そうなんです!あやめのお母さん、すみません。
一度、連絡入れておけばよかったです」

「葉月ちゃん…そうなの…。
でも、あやめ!連絡なしは本当に心配するでしょ!!」

「ごめんなさい…」


シュンとして謝るあやめ。