「……カンナが、ここにいるのに、何で私は?
え?今誰が…」
≪殺樹だよ≫


私の声を最後まで聞く前に、カンナがそう発する。
それすらも気に食わないと言う様に。


≪いいか?てめーは余計な事するなよ?≫

「余計な事、って」

≪余計な事は余計な事だよ。
大人しく家に帰ってりゃいいんだよ≫

「……」

≪その為に動くから、てめーはそこで指でも咥えてじめじめと泣いてろ≫


カンナはそれだけ残して、私の顔を見る事もなくどこかへ行ってしまった。


ぽつんと、一人立ち尽くす。


今、殺樹が出てるって?
何だろうか。

私はカンナ以上に、彼が怖い。

何をするか全く予想出来ないからだろう。


抑揚のない喋り方。
だけど、瞳は全てを憎悪してる様な気がして。

不思議な瞳の色が、恐ろしくて、一分と見つめる事すら怖かった。


……現実ではない世界に吸い込まれてしまいそうで。