それから。

殺樹の存在に最初は驚いた。
だけど、あいつもきっとカンナの仲間。

…いや、それは少しだけ違うのかもしれない。


あいつはあやめを犯そうとする義父を殺したい。


純粋にそれだけに思えた。


あいつのあやめに対する想いは、狂っている。
ただ好き、って言葉だけでは足りないな。

あやめの全てを欲している様に思える。


あいつがもしも人格としてでなく、一人の人間として生きていたなら。


それは、もしかしたらカンナよりも恐ろしい存在になり得るかもしれない。


……あやめはあんなに綺麗なのに。


どうして、他の人格はここまで歪んでいるんだろうか。


逆か。
あやめがああだから、黒い部分が更に黒くなってしまったのかもしれないな。


そう考えたら。

確かに、他の人格は“可哀想”なのかもしれないな。


なんて、俺らしくねえ考えだ。


自分の思考に笑いが込み上げる。


はあ。
たった、数日だってのに。



もう少しで、全ての決着がつく様な気がした。

どうなるか、それは全く以て検討もつかないが。