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「初めまして、かな?草野心君」



あやめ、だけど、あやめではない人物が俺に向かってそう言った。
薄らと笑みを浮かべるその顔は、酷く不気味だ。


「俺は殺樹って言います。よろしくね」


そう言うと、殺樹と名乗ったあやめはすっと手を俺に差し出す。
警戒しながら、その手を掴む。



「だから、あやめに近付かないでくれるかな?」


俺の手をぎゅっと痛いぐらいに掴むと、殺樹はさっきと変わらない口調で言った。
あまりにも突然の事で、俺の思考は追い付かない。


カンナと、他に見せてもらった人格以外にまだいただなんて。


俺が何も言わずに、殺樹を見つめていると殺樹の瞳が急に温度のないモノに変わった。
それにどくんと心臓が変な音を立てる。



「俺は、ね?あやめだけの味方なの」



その声は、やっぱりさっきと変わらない言い方で。

だけど、それが更に俺に恐怖を与える。