多重人格者【完結】

嫌だな、それ。
付き合ったりしないから。

お互い、両想いかもしれないけど。

だけど、付き合う事はしないから。



カンナ達の事が片付かない限り、私は自ら幸せを掴もうと思えない。


今まで、どれだけの事をして来たのだろう。

考えても仕方ないってわかってるのに。


そう、思えて仕方ない。


そっとしておいて欲しい。
そんな私の願いも虚しく。

昼休み、派手めの女の子達に呼び出されてしまった。


「一之瀬ってどれ?」


教室の扉前に立つその女の子達は、髪の毛を綺麗に染めて、メイクもばっちしだ。
これが、葉月の言う派手めの女の子だなろうなあって思った。


「…私です」


クラス中の視線が私に突き刺さる。
それに居た堪れない気持ちになりながら、私は急いで扉に向かう。

心配そうに見つめる葉月に、ニコッと笑顔を作った。
葉月もニコって笑ってくれて、少しだけだけど安心した。


「ちょっと来てくれる?」


連れて行かれた場所は、人の来ない特別棟の女子トイレ。

怖くて足が震える。
こんな事、初めてだ。