「行こうか、あやめ。葉月ちゃん」

「あ、うん」
「はーい」


葉月はさっきからニヤニヤしている。
突っ込まないからね、私は。


心君は自分の教室に到着すると、「また後で」と言いながら手をひらひらさせた。
私はそれに頷きながら、葉月と一緒に自分の教室へと向かう。


「それにしても驚いちゃった!」


葉月が自分の机にカバンをどさっと置きながら、そう言った。
私は意味が分からなくて首を傾げる。


「何が?」

「だって、トントン拍子!って感じでさ」


更に私は首を傾げる。
それに、葉月ははあっと溜め息をついた。


「あの草野君だよ!草野心!草野君って結構派手めの女の子と噂になってたのに」

「……」

「私、応援するからね!あやめ」

「うん、ありがとう」


私は自分の席に座ると、私の事が噂になるのも早いかな。なんて、ぼんやりと考えた。