「あ、あやめーーー!!」


大きな声で私を呼ぶ、その声の主はわかっている。

口角がゆるゆると上がって行く。


私はゆっくりと振り向く。
そこには、満面の笑みをした葉月がいた。


私の肩を抱くと、

「まじでまじで付き合ってるの!?」

なんて耳打ちして来る。


それから、ちらっと葉月は心君を見た。
心君はそんな葉月ににっこりと微笑む。


「付き合っては…いないけど」


私もこそこそと、葉月にだけ聞こえる様に話す。


「そう?何か、後ろから見たらお似合い!って感じだったよ!」

「あはは」


嬉しいやらなんやら、複雑な気持ちのまま、私は曖昧な笑みを浮かべる。


「葉月ちゃん」


二人でぼそぼそっと会話してる後ろから、心君が声をかけた。
びくっと揺れる肩。