だけども、心君は薄らとその顔に笑みを乗せただけで何も言わない。
頷く事も、首を振る事もしない。


断定するのを拒否するかの様に。



「行こうか、あやめ」

「……うん」


聞くのは怖かった。
だから、私も何も言わないでいた。



私達は、色々選択して行く。

そして、その選択を間違えて行く。



それに気付くのは、全てが終わってから。



気付く事なんて出来ない。