多重人格者【完結】


「心君は…お願い、自分を大事にして」


私の真っ直ぐな視線に、心君は目を見開く。


「……」


何も返さない心君に、私は思った事を口にした。


「私は心君の事も守りたいんだよ。
守ってくれるって言ってくれたけど、でも私も守りたいの。
守ろうとして、心君自身が犠牲になるのは嫌なの」



泣きそうだった。
でも、ここで泣くわけにはいかない。


私は心君が好きなんだ。

その心君が自分を犠牲にして私を守ろうとするなんて。
それは絶対に阻止しなくちゃいけない。


「……そうか」


俯いていると、心君のぼそっと呟く声がした。


「え?」


思わず顔を上げると、

「え?あ、ううん、何でもない。
わかった、自分をないがしろにしないよ。約束する」

そうやって言って心君は笑った。