「……あ、やめ?」

「おはよ、心君」

「……ん、はよ」


掠れた声で、そう言うとまた目を閉じる心君。
何も言わなければ、このまま寝てしまいそうだ。

それが可愛くて、私はクスクスと笑った。


「…何笑ってんの」

「だって」

「まったく。…でも、いいな。ちょっと起きてあやめが隣にいるの」


心君は額に手を当てて、ふんわりと微笑む。
その顔があまりにも優しくて、どきどきと心臓が早鐘の様にうるさく鳴り始めた。


「さー起きるか」


背筋を伸ばして、心君は一気に起き上がるとリビングに向かう。
私はその後ろを付いて行った。


まだ、心臓がどきどきいってる。
昨夜の事とか思い出しちゃって、更にどきどきする。


「どうした?あやめ。食わないの?」

「あ、うん。いただきます」


動揺しながら、私は慌てて手を合わせると箸を手に持った。
横で奈乃香さんがニヤニヤしてるから、多分こんな私に気付いてるだろう。