「準備おっけー。それじゃあ、あやめちゃん、心起こして来て」

「え」

「心ね、結構な時間あやめちゃんの隣にいたみたいよ?
愛よねぇ~」


なんて、冷やかす様に笑うから照れ臭くなって、私は急いで心君の寝ている奈乃香さんの寝室に向かった。
ベッドの横に敷いてある布団にくるまり、すやすやと眠る心君。


初めて見る寝顔に、ふっと心が和む。
なんか、起きてる時は男っぽくて大人だけど。


…寝てると、こんなにあどけないんだ。


私は心君の隣に音を立てない様に慎重に座ると、顔を見つめる。


「……ん」


その時、心君が寝返りを打って顔をしかめた。
それから、ゆっくりとその目が開けられる。