多重人格者【完結】



「今すぐに抱き締めたいけど…、あやめが俺を好きだってわかって、更にあやめの心配事がなくなって。
更に更に、あやめがいいよって言ってからだな」

「……ふふ」

「何で笑うんだよ。俺真剣なんだけど。
つか、一からってわかんねえからもう、テンパってる」

「うん」

「だけどさ。あやめは…そういう事に対して、嫌な感情しかないだろ?
だから、もしも次するなら。
好きな相手と、幸せな気持ちでして欲しいって思うんだよ。
その相手が俺じゃなくてもな?」

「……」

「本当に、未遂でよかった。
結局、カンナを呼び起こしてしまったから、いいのかって言えるかわかんねえけど。
でも、あの時あやめを助けてくれて…心の底から感謝したいんだ」



俯き、そう言う心君の手が微かに震えている。
ぎゅうっと胸が締め付けられた。

あの時の出来事を思い出すと、心臓がどくどくと鳴る。
怖いって気持ちも甦って来る。


だけど、心君を責め立てようだなんて…思えないんだ。