多重人格者【完結】

「…家で起きた事を思い出してたの。
それで、まだ私の思い出してない記憶もあって…」

「うん」

「そこに…カンナの声がして」

「……」

「私は…心君を守れるのかって…」

「……それで?」

「…意識手放しそうになった時に、奈乃香さんが来てくれた」

「そうか」



心君は抱き締める腕を更に強めて、ハッキリと私の耳元で言った。



「あやめが俺を守るんじゃない。
俺があやめを守るんだ。
カンナは勘違いをしてる」

「……」

「だから、あやめが俺を守れるのか不安に思う事はない」

「……でも、私はあの人に実際触られて、それがどんなに嫌な事かわかった。
私以外の人にそんな役目をさせてただなんて、考えただけで…」

「……」

「カンナ達に感謝しないといけない立場なんだ、本当ならば」

「……あやめ」


捲し立てる様に話す私から、そっと体を離すと心君は両頬をがしっと掴む。
しっかりと心君の目が見えて、暫く見つめ合った。