多重人格者【完結】

「俺に迷惑かけるとかそんな事心配してんじゃねえよ。今更」

「……」

「あんなあ、言わねえで何かあやめに遭った方が余程迷惑なんだけど?」

「……」

「それ理解してる?」

「……ごめんなさい」

「ん。わかればいい」


ぱっと鼻を摘まんでいた手を離すと、その手は私の背中へと伸びた。
ぎゅうっと強く抱き締められて、私の心臓は更に音を立てて響く。


心君の温もりを感じて、顔が熱くなる。
お風呂に入ったばかりの髪の毛からシャンプーの香りがして来て、更に頬が紅潮した。


「ちゃんと話して。怒らないし、うざがらないし。
何も言わないで、抱え込んでるあやめ見る方が…堪える」

「……心君」


心君の優しさにジンと来て、涙が滲む。
涙を堪えながら、私はぽつりぽつりとさっきあった出来事を話し始めた。