多重人格者【完結】

「ん、それじゃあ、おやすみ。
あやめちゃんもおやすみ」

「おやすみなさい」


寝室に奈乃香さんが入って行くと、シンとリビングが静まり返る。

隣に座っている心君が、今更ながら近くに感じて緊張する。
心君の顔が見られない。


「……あやめ」

「……」

「やっぱりお前、何かあったろ」


ハッキリとそう言われて、ドクンと心臓が鳴った。
誤魔化せた、そう思ってたけど違っていたみたいだ。


きっと、奈乃香さんには言えないと思ってたんだ。
だから、奈乃香さんの前では納得したフリしたんだ。



「俺に隠せると思うわけ?」

「……」

「はあ。信用ないなー俺。そろそろ凹むよ?」

「ち、ちが」


むぎゅっと、心君が私の鼻を摘まむ。
それに私は目をぱちぱちとさせた。