多重人格者【完結】

≪殺るのはカンナでしょ?直接手を下したいでしょ?≫

≪……ああ≫


頷くカンナに殺樹は自然と口角が上がって行く。
細めた目でカンナを見つめると、続けた。



≪そっか。なら余計に自由に動けるのはいいんじゃないか?≫



確かに、カンナにとって都合が良かった。
あやめの全面降伏とも取れる発言。


カンナ達がいたから。
他の人格がいたから。


だから、今のあやめは大丈夫なのだと。



あの男に触られて、やっと。
やっと。
あやめは自覚したわけだった。




(…だが)


カンナは心の中で思う。


引っかかるのは、殺樹の胡散臭い笑みと、草野だった。